
世田谷文学館(芦花公園)
世田谷文学館(芦花公園)
横溝正史や徳冨蘆花ら文化人が愛した地に立つ世田谷文学館。地域ゆかりの作家の資料保存・収集という文学館本来の役割のみならず、“文学を体験する空間”と銘打った、多岐にわたる活動が特徴だ。「筒井康隆や萩原朔太郎といったいわゆる“文学作家”以外に、漫画家、映画監督、画家なども含む自由なテーマの企画展を開催。作者の思想や言葉そのものを“文学”の一環として大切にしていて、作品から名言を抜き出したり、視覚的に楽しめる空間を演出したりと、展示に工夫をしています」そう語る学芸員の原辰吉さんも、多彩な企画展に魅了されたファンの一人だったという。
また、「館自体の雰囲気も地域で愛されている理由の一つ」と原さん。豊かな緑、優雅に泳ぐ鯉、フリースペースや喫茶店でくつろぐ人など心和む風景が随所にあり、本ばかりの施設というイメージは覆される。「2年前の改装でキッズ&ベビーエリアのあるライブラリーを設置して以来、学校帰りの子どもたちや、ご家族でのご利用も増えています。今後も“文学館”の枠にとらわれない、地域交流の場でありたいです」。館内外でのワークショップも幅広い世代から人気だそう。柔軟な発想力が、新たな“文学”ファンを生み出しているのだ。

喫茶「どんぐり」の人気商品パンケーキと、夏季限定の抹茶クリームラテでひと休み。